総長、私のリボンほどいて。🎀


「…ねむ」
 7月10日の早朝。屋上で月沢(つきさわ)くんが無表情な顔で言った。

 月沢(つきさわ)くんは扉の横で右膝を立てて座っている。

「ごめんね、こんな時間に呼び出して…」

「…いや、でもこんな時間によく来れたな」
「…まぁ、俺もだけど」

「今日は一人で電車に乗ってここまで来たの」
「早く高校行って勉強したいからって嘘ついて…」
「昨日、帰りが遅くなったのも図書室で勉強してたからって…」
「だけどもう、バレるのも時間の問題かもしれない」

「…なんで?」

「昨日の帰り、電車で書庫蘭(しょこら)高校の天川(あまかわ)くんっていう人に会った」

 月沢(つきさわ)くんは両目を見開く。

「それで教えてもらったの」
「白い鳥に月沢(つきさわ)くんのことがいっぱい呟かれてるって」
天川(あまかわ)くん、書庫蘭(しょこら)高校3年だって言ってたし」
「もし同じクラスだったりしたら(ひょう)…」

 月沢(つきさわ)くんが私の口を右手で塞ぐ。
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