総長、私のリボンほどいて。🎀


 どのくらい走ったのか分からない。

「はぁっ、はぁっ…」
 私は息を切らして辺りを見渡す。

 ここ、見覚えがある。
 あ…氷雅(ひょうが)お兄ちゃんとのゲーセンの帰りに通った裏道だ。

 コツ、コツ。

 え、前から誰かが歩いて来て…。

 背の高い黒髪の男の子が見えた。
 パーマをかけたショートボブの髪型をし、
 その隣には男性がいる。

 嘘…黒坂翼輝(くろさかつばき)…!?
 隣の人は…監察官?

 ――――スッ。
 通り過ぎる瞬間、黒坂(くろさか)は私の耳元で悪魔のような甘美な声で囁いた。
< 268 / 480 >

この作品をシェア

pagetop