Mazzo d'amore
カルーアコラーダ(4月1日)
4月初めの週末

母に連れられて仕事の手伝いに行った。

場所は都内のビルの一室のBAR

「はい、今日から出勤ね」

「ねぇ、アルバイト禁止だからバレたら停学なんだけど。つか、多分だけど飲み屋だと退学になると思うんだけど」

「大丈夫。家の手伝いなんだから。定食屋の娘が手伝いでご飯出すのと一緒」

「いや、その理論どう考えても違うから」

母はガールズバーで働いていた。

ガールズバーと聞いてもわからない人も居ると思う。

わかりやすく言うとバーテンダーは男性がカウンターでお酒を作ると思うが、ガールズバーは女性がお酒を作る


そして接客をする。

「キャバクラと何が違うの?」

「客の隣に座って話すかカウンター越しに話すかの違いよ」

それでも私にはよくわからなかった。

なぜならもうすぐ高3のごくごく普通の女子高生ですからっ!泣けてくるわ。

(普通の親ならこんな所で働かせるとか止める側じゃないのかな?)

「ガールズバーは飲食店に分類されるから18歳未満の高校生も働けたりするのよ。だからそんなに心配しなくても良いよ」

このお店で働いてる翔子さん(25歳)に教えてもらった。

「ただまあそうは言っても普通は女子高生をバイトで雇うガールズバーなんてこのご時世ないけどね」

母は開店準備を進めながら口にした。

「じゃあダメじゃんっ!」

「大丈夫大丈夫」

「なんで!?」

「フィクション!フィクション!」

「…………」

この母、法的にギリギリ攻めてると思ったら今後全部これで押し通して私に色々やらせる気だなと思った。

「というか、アルバイトで接客業すらした事ないから何を話したら良いかわからないよ」

そう嘆く私に翔子さんは言い切った。

「適当に『さしすせそ』言っとけば大丈夫よ」
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