Mazzo d'amore
ちなみに菜音くんはまん丸おデブの男の子。

私も人の事言えないが丸くてお饅頭みたいだった。

菜音くんは千と千尋の神隠しに出てくる坊みたいだった。

「心春ちゃん今日何して遊ぶ?」

「そうねぇ、何しようかしら」

4月1日のエイプリルフールの日、私と菜音くんの唯一、一緒の3歳の日。

私達は私の家のお庭で遊んでいた。

「え?菜音くん1人で手紙出せないの?心春1人で出せるよ」

私はこの日、生まれて初めて嘘を付いた。

私はいつもママと一緒にお手紙を出していたが菜音くんにお姉ちゃんぶりたく1人で出来ると嘘をついた。

「じゃあ、お手紙出す遊びしようよ」

「うん。どうやってするの?」

「そうねぇ、私のおばあちゃん家に届けに行きましょ!お手紙書いてきてね」

「わかった」

私もすぐにお家に入りお手紙を書いた。

菜音くんは青の折り紙を手紙に見立ててそこに字を書いた。

「おばあちゃん青とか白とか好きだから喜ぶよ」

「そうなの?」

「うん、パパが言ってた」

そして私達は肩から小さなかばんをクロス掛けしてその中に各々手紙を入れた。

「心春ちゃんなんて書いたの?」

「にゅうえんしききてねって書いたの。菜音くんは?」

「んとねー、えっとねー、そうだなー…ありがとうって書いた」

菜音くんのお母さんお手製の鈴付きの鞄。

今回の誕生日にと私達2人にくれた。

歩く度にりんりん鳴って可愛いと当時は思っていたが、きっと居場所がわかる為のアイテムなんだろうなと大人になってわかった。
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