Mazzo d'amore
カーディナル(優しい嘘)
私は週末、再び母の働くお店へ借り出された。

「どう仕事なれた?」

「ぜ、全然」

開店の準備前、翔子さんに聞かれた。

「というか、母の代わりが私で大丈夫なんですかね?」

「ああ、大丈夫大丈夫、お酒は私が作るから」

最近、母は他の仕事が忙しいようでお店にあまり出なくなった。

また学校帰りに事務所に寄っても居ない事も多かった。

「母さん何の仕事してるの?」

「母さんは自分探しの旅に出かけてるのさ」

父に尋ねてもはぐらかされる。

「その答えで良いのね?その言葉が面白いと思ってるのね?」

「………いや、違ったかな……ちょっと待って…」

父も疲れてるのか笑いの精度が落ちていた。

私は稜くんのジムに行ってみようと思っていたので初回の24時間分のお小遣いを早く完済させ、新たにお金を稼ごうと意気込んだ。

「いらっしゃいませ」

様々な年齢層の男性の団体が入店してきた。

会社の飲み会の二次会だろうか。

少し顔が赤く酔ってるように見えた。

おしぼりを渡し、

「自由にお座りください」

翔子さんがどこでもどうぞと案内し、飲み物のオーダーを取った。

するとカウンターに座った若者2人に話しかけられた。

「お姉さん俺チャラそうに見られがちなんだけど一途なんだぜ!浮気も一回もした事ないんだぜ」

「さ、さすがですね!」

「ところでお姉さんおっぱい大きそうだけど、何カップ?」

「しらんわっ!気持ち悪っ!」

「え?」

私は胸が比較的に大きいので男の子から小学生の頃からそういう性的な目で見られる事が多くガチで嫌だった。

胸の小さな人から羨ましいと思われるかもしれないが私は平均的な大きさで良いと常々思っている。

小学校低学年の頃は近所に住む菜音くんと遊んでたが中学年に上がると、菜音くんも段々と私と遊ばなくなっていった。

そして私も4年生の頃には段々と胸の膨らみに気づき男女の体の違いを意識するようになっていき、男子を苦手と思う部分もあった。
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