Mazzo d'amore
「美味しそうだね」

「ね。最近学校で何して遊んでるの?」

帰り道2人でいっぱい会話をした。

「あれ?菜音じゃね?」

「ほんとだ!菜音何してんの?」

家まであと少しの距離で同じ学校の男の子達2人と出会った。

菜音くんは私と一緒に居る所を友達に見られたくなかったのだろう。

さっきまで隣を歩いてた間から距離が空いたのでそう感じた。

「へぇ…2人デートしてんの?」

「してねぇよ」

「相葉の事が好きなの?」

「好きじゃねぇよ」

まあ男の子だからこんなもんだろうなと私はわかっていたので平気だった。

「ほんとは好きなんだろ?それとも相葉が菜音の事好きなの?」

「だからそんなんじゃないって!」

「相葉のおっぱい触ったの?」

「はあ?触る訳ないだろ!」

「え……気持ち悪」

流石にコレには私も嫌悪感が出てしまった。

言った男の子が悪いのだろうけど、こんな会話をしてる菜音くん達が気持ち悪いと思ってしまった。

男の子達は私が恥ずかしがったり嫌がる私の反応を楽しもうとしてたんだろうけど、汚いモノを見るかのような目で見られてムカついたのか菜音くんの手に持ってるケーキを

「あちょー!」

そう言って軽く蹴った。

「あ!」

ドサッと菜音くんの手からケーキの箱が落ちた。

それを見て私は泣きだした。

「お前やり過ぎだって!」

「ばか!お前だってからかってたじゃんか!」

そう言いながら2人は逃げるように帰って行った。

「俺……俺……」

菜音くんは私にどんな言葉をかけて良いのかわからない様子だった。

私は涙を止めて

「びっくりした?嘘泣きだよ!」

笑顔で言った。

「な、なんだ!そっか!」

「さ、早く帰ってケーキ食べよ。崩れたけどケーキは無事だろうから」

この日、ぐしゃぐしゃに崩れたケーキが2人初めて一緒に食べた誕生日ケーキだった。

その話しを聞いた酔ったお客さんは大きな声を出した。

「ほらぁ!先輩がお姉さんにバストのサイズ聞いたりとセクハラするから怒ったじゃないですか!」

「ねぇ、ところでお姉さんはその時本当に泣いてなかったの?ケーキの箱が蹴られた時」

「泣いてましたよ!その日が私の2回目の嘘です」

「かぁ!なんか甘酸っぱいね!あの頃の男の子はほんとガキだもんな!女子と居る事が恥ずかしかったりしたもんな俺も!」

「先輩、ちなみにロウソクの答えって何本なんですかね?俺、わかんないすわ…」

「そんなもん簡単だよ!ねぇ…?」

そう私の顔を見て尋ねるお客さん達にニコリと微笑んだ。
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