Mazzo d'amore
ブランデーサワー(甘美な思い出)
カランコロン

本日もMazzo d'amore(マッツォダモーレ)の扉が開いた。

お客様の来店だ。

「いらっしゃいませ」

本日お越しのお客様は男女の若いカップルのようだった。

「どうぞ、こちらへ」

カウンター席を案内し、おしぼりを差し出した。

「俺はハイボールにしようかな。何飲む?」

「どうしようかな……桃のカクテルとかオススメあります?」

「そうですね…ベリーニが甘いですが爽やかな飲み口なのでどうでしょうか?」

「うん、それをお願い」

「かしこまりました」

私はそう言ってハイボールとベリーニを用意した。

「可愛いお花。生花?」

カウンターの上に置いてある花瓶に挿してある花に彼女さんから聞かれた。

「はい、昔からお花が好きで。あとこれ良かったらどうぞ。サービスですので」

私はそう言って骨付き肉を出した。

「ガールズバーで料理とか意外だね、乾き物の食べ物だけかと思ってた」

「滅多に出さないんですけど今日はたまたまです」

「えっ!!凄い美味しい!!このスペアリブ今までで食べて来たなかで1番美味しい!!」

女性は凄い嬉しそうに食べていた。

私は嬉しくてニコニコした。

「これ、スペアリブじゃなくてバックリブだよね俺も好きなんだ」

「さすがですね、よくお気づきで」

「スペアリブは肋骨の下側のバラ肉でバックリブは肋骨の上側のロースになるんだよ」

「知らなかったです。ご聡明なんですね」

「バックリブはロースだから脂身が少なくて上品な味で柔らかい感じがするんだよね」

「凄い詳しいんですね!お料理の仕事されてるんですか?」

「君のリブも美味しそうだね」

「いや、急にセクハラかよ!さっきまで料理の話しからの急展開にビビるわ!」
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