Mazzo d'amore
「だって…だって…」

「光太郎は今日まで色々頑張って来たんだもんな……。京香を支えながら京香の病気が娘にバレないようずっと隠して…。本当は人一倍弱いくせに妻や娘には弱い所を見せずに無理して明るく気丈に振る舞ってさ………お…前は……ほんっと……偉い、偉いよぉぉ!ダメだ…俺も涙止まらなくなってきた……」

男二人肩を組みながらおいおい泣きながら飲んでる姿に私達女性陣は苦笑いしていた。

カランコロン

「いらっしゃいませ」

「おめでとうー!……って何この男二人号泣してるの?どう言う状況?」

翔子さんが来店した。

「この男二人はほっといて良いよ翔子さん、胡蝶蘭ありがとう!お店の入り口に飾らせていただいてます」

「いえいえ、私もビールちょうだい」

そう言っておばあちゃんの隣に翔子さんは腰掛けた。

そして翔子さんはおばあちゃんとグラスを合わせて乾杯してビールを飲み始めた。

カランコロン

「いらっしゃいませ」

「相葉!オープンおめでとう!」

シャンパンを右手に持った翼先生が入店してきた。

「わあ!ベルエポックだ、ありがとうございます。お飲み物はビールですか?」

「おお、そうだな……剛達どうしたの?男二人号泣して」

翼先生は父の隣に席をおろしビールを受け取り

「お疲れ!」

そう言って飲みはじめた。

そして5分とたたずに

「いや、俺ね、京香と再会した時にめちゃくちゃ立派になってでざ……あんなちっぢゃがった京香がさ……健太死んでからずっと気にかけてて気にかけててそしたら光太郎と結婚してるからさほんと良かったって思ってさ……けどさ……神様もほんとなんでそんな事するんかな何も京香の命をさ…奪わなくたって……」

翼先生も大号泣していた。

カランコロン

「あ、また誰か来た」

私は入り口を見た。

「うわっ……なんか凄くね…めっちゃおっさん達号泣してるじゃん」

「みゆいらっしゃい」

相変わらずマッチ棒みたいにポキッと折れそうなぐらい細くて顔のちっちゃいスーパーモデルのみゆが入ってきた。
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