一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



「そういえば……天地くんはなんでここに?」



いつもなら男の子とこんなに話すことはない。


ましてや自分から問いかけるだなんて……


それなのに天地くんがどうしてここにいるのかが気になって聞いてしまった。


自分でも不思議なくらいに心が落ち着いている。


ただ、そう問いかけてからハッと気がついた。


天地くんがこんなこと素直に答えてくれるはずがないことに。



「ご、ごめん……今の、忘れて?」



バカなことをしたと撤回しようとすると。



「何もなくて落ち着くから」


「……へ?」



天地くんはポツリと呟いた。


本当に答えてくれるなんて思っていなくて、驚いたままの私をよそに天地くんは続ける。



「教室は居心地悪いんだよ。何もしてねーのに人のことを犯罪者を見るような目で見てくるし。だから放課後も人が居なくなるまでここにいる」


「そ、そうなんだ……」



聞いたのはいいけれど、なんと返したらいいのかわからず、視線を落とした。




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