『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
タクシーで10分ほど走って着いたのは、昨日も訪れたパパのアパート。
相変わらず廊下や階段には物が置かれ歩けるスペースは半分もない。

「気を付けないと、また転んだら笑えないわ」
足をひずっている分昨日より動きにくいから、私は慎重に階段を上がった。

トントントン。
ドアをノックすると、中から物音がする。
どうやらパパは家にいるらしい。


「どうした、こんな時間に?」
朝早くからやってきた私に驚いた顔。

「うん、パパのことが気になって」
「そ、そうか」

ヨレヨレのジャージにボサボサの頭、うっすらと無精ひげまで伸びたままのパパは困ったように私を見ている。

「パパ、大丈夫なの?」
聞きたいことはたくさんあって、色んな意味を込めて問いかけた。

「ああ、心配ない」

嘘ばっかり。
いつもならすぐに部屋へ入れてくれるのに玄関の扉を少し開けただけで何かを隠している様子は、きっと部屋の中を見せたくないんだろう。

「ごめんね」
パパ。
「真理愛」
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