『お願いだから側にいて』~寂しいと言えない少女と孤独な救命医の出会い~
警察を出て、私とパパと敬さんの三人は一旦パパのアパートまで戻った。

「真理愛、1人で帰れるか?」
「うん、タクシーを拾うから」

送ってもらって万が一ママとパパが顔を合わせるようなことになればめんどくさいし、1人で大丈夫だからと主張した。

「僕が送ります。病院へ戻るところだったので」

車で来ていた敬さんが言うけれど、本当なら敬さんに送ってもらうのも気が引ける。
でもこれ以上はパパも敬さんも納得してくれないだろうと、言わなかった。
病院は自宅までの通り道だし、敬さんも今日は仕事だって言っていたから、病院まで送ってもらおう。私は一人でそう納得した。

「すみませんが、真理愛のことをお願いします」
「はい」

お医者さんだってわかったからかな、パパの敬さんに対する反応が少し違ったような気がする。
まあ、ただ単に素性がはっきりしたからってだけかもしれないけれど。

「真理愛、気を付けて帰るんだぞ」
「うん」
「それから、今日のことは」
「大丈夫言わないよ」
ママに言えば大騒ぎされるだけだもの。

じゃあねと手を振り、私と敬さんはパパのアパートを後にした。
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