若社長は面倒くさがりやの彼女に恋をする
 上機嫌で返事をすると、今度は生暖かさに微笑を混ぜたような笑顔を向けられた。

「いえいえ。あ、また再来週の予定も教えてくださいね」

 僕の予定ではなく響子さんの予定。
 来週は出張でいないから、確認するのは再来週の予定だ。

「分かった。聞いておく」

 夜の予定を入れても良い日。つまり、響子さんの当直日。
 今日みたいに会食は響子さんと会えない日に入れて欲しいと頼んだのは僕だ。響子さんにちゃんと確認しておかなくては。

「来週、会えなくて寂しいですか?」

「そりゃ」

 海外は好きだし仕事も嫌いじゃない。だから、海外出張はある意味、普段ならちょっとした息抜き、かつ良い刺激になるのだけど、正直、今はそれどころじゃない。このタイミングで響子さんと一週間も会えないのは、かなり痛い。

「早く結婚してもらえるといいですね」

 結婚して『もらえる』、コイツよく分かってるじゃないか。思わず笑うと秘書も含み笑いを漏らした。

「式場、いくつか当たってみました。仮予約は……」

「さすがにそれはプロポーズを受けてもらってから、と言いたいけど悩ましいね」

 大きな会場はそうすぐには準備できない。早めに押さえるに越したことはない。
 けど、キャンセル料もそれなりにかかるから、気軽に仮予約とはいかないから悩ましい。

 ……いや待てよ。
 確かに披露宴はそうかも知れない。だけど、結婚式ならどうだろう? もしや響子さんと僕さえいれば大丈夫? 披露宴は必要なら別の日にすれば良いんじゃないか?

「あのさ、披露宴会場は慌てなくて良い。代わりに式場を探しておいて」

「はい?」

 普通、披露宴するホテルでするよな? 外だと、

「教会か神社?」

「えーっと、社長?」
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