高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―

桃ちゃんへの報告


桃ちゃんへの報告



上条さんと想いを重ねた翌日の夕方。
急な誘いだったのにふたつ返事でオーケーしてくれた上、部屋に招き入れてくれた桃ちゃんは、湯気の立つ紅茶の入ったカップを持ち上げながら、経緯を説明してくれる。

「美波の相手が上条さんだって知ってから少し心配してたの。一時期遊んでたっていう上条さんの噂は私も知ってたから、そんな男に美波が騙されでもしたらと思って直接釘刺したかったの」
「……うん」
「でも、私の取り越し苦労に終わる可能性もあるし、せっかく新しい恋を見つけて楽しそうにしてる美波には余計なことは言わない方がいいかと思って。水差すのが嫌だったんだけど、結果的には逆に色々悩ませちゃったみたいでごめんね」

申し訳なさそうに微笑む桃ちゃんに、ふるふると首を振った。

「ううん。私の方こそ、勝手に疑ってごめん。もし、桃ちゃんが上条さんが好きなら、お似合いだなとか思って何も言えなくなってたの。だから……こんなにもてなしてくれなくても大丈夫だよ」

苦笑いで言いながら、アンティーク調のローテーブルにぎゅうぎゅうに並ぶスイーツに視線を落とす。

モンブランやショートケーキといったケーキ類から、クッキーやフィナンシュなどの焼き菓子、可愛いデコレーションがされているチョコレートたちは、どう考えても三時のおやつに食べる量ではない。

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