高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
「どうせだから、おまえの気がすむまで付き合ってやる」
立ち上がりこちらの席に回った上条さんが、私のバッグを持ち、私の腕を掴む。
力強く立ち上がらされ胸が跳ねた。
「店を変える」
「え……え?」
一気に決壊したように泣いたせいで、熱が絡まりうまく働かない思考回路。
上条さんに連れられるままお店を出る。
まるで、ドラマの中の主人公にでもなった気分だった。
ものすごく久しぶりに、恋の音を鼓動が弾き出していた。