高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
『あ、ずる、い……っ、ぅ、あ……っ』
与えられる気持ちよさに抗議の声が飲み込まれ溶かされるのはすぐだった。
『あ、やだ……っ、も……んんぅ……っ』
意地悪されているのにそれさえもスパイス状態で、完全にどうかしていたと今は思う。
満足そうに笑った上条さんは私を組み敷いたまま、何度も体を重ねてきて、私はされるがままで……と、脳裏に鮮明に映し出される艶やかすぎる光景を慌てて振り落とす。
思い出すなら、試食会やバーでの会話だっていいはずなのに、どうしてもその後の情事が紐づいてきてしまうので、ほとほと困っていた。
そんな私の反応に、後藤が楽しそうな声を出す。
「あー、まぁ久しぶりだったんだもんな。そりゃ思い出しはするかもしれないけど……あ、もしかして、相当マニアックなことしたとか?」
下品な発言をする後藤の肩を裏拳で打ってから睨んだ。
「冗談じゃん」と笑った後藤がジョッキを持ちながら続ける。
「顔よし金よしのハイスペック男なんだろ? 他の女も放っておかないだろうし、とりあえず早めに連絡しといた方がいいんじゃねぇの。高坂が〝上条さん争奪戦〟に参戦するって明確に決意したら、友達として俺も応援してやるよ。だからまず電話して宣戦布告してこいって」
明るい笑顔で言う後藤に、呆れ笑いを返し……バッグから取り出した携帯を握り締め、電話をかけるために一度お店を出た。