モテすぎる先輩からめちゃくちゃに愛されたい
ポケットに手を突っ込みながら言う。


「そうですね…帰りましょっか」



多分、いまの私の声は悲しかったはず。

だってこれでお別れなんだもん。


そんなのつらいよ……!

わかってたけど、今目の前にいる先輩に抱きつきたくて、本当のことを全て言いたくて心臓がざわめいている。



「そーんな顔すんなって。またすぐ会えんだから」


「ですね!」



……今までで最大のウソをつきます。



「今日は楽しかったです。…渚先輩、さようなら!」


「ああ。またな」



軽く手を振って別れの合図。


渚先輩の背中が見えなくなるまでずーっとその場から動かなかった。



ふぅ…っ先輩。
「またね」なんて言えませんよ…!


ごめんなさい…渚先輩。

大好きでしたー…。



真冬のクリスマス。

私は自ら大好きな人を手放した。


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