好き
彼への想い
それから更に数ヶ月が過ぎた。
この数ヶ月で私は遥輝君への想いはどんどん強いものへと化していった。
話すだけで幸せを感じてしまう。

部活で私は美術部。遥輝君はテニス部。
校庭で練習している姿が、美術室からよく見える。
ああ。綺麗だな。
テニス経験者というだけあって、とても上手い。
どんな早い球もスピードを吸収しているみたいで、可憐に打ち返している。
キャンパスに書いて家に持ち帰ってはベッドの下の棚に入れている。
捨てることは出来ない。だって、そうすると絵の中の遥輝君が悲しみそうだから。
もしも、無条件で彼の隣に立てるのなら。
もしも、もっと近くで眺められたら。
そんな事を考えると止まらなくなる。

でも・・・遥輝君が好きなのは紗英。
私には勝ち目がない。
あんな可愛い子に告白されたらもう負けが確定。
そんな複雑な気持ちを抱えていたら、
文化祭が近づいてきていた。
私のクラスではカフェをすることに。

「ねえねえ深雪!聞いた!?」
「ん?何を?」
「玲香ちゃんね、文化祭で遥輝君に告白するんだって!」
「そ、そう、なんだ。」

告白。
そうか・・・。私に・・・そんな勇気はない。
紗英の事が好きな遥輝君に告白しても振られるのは目に見えている。
私はこれといった取り柄がない。
でも、秋休中は幸せだった。

秋休中、暇だから学校に来て絵を描いていたら遥輝君と遭遇した。
どうやら休み中でも練習があるそう。
だから秋休中は毎日学校に行って絵を描いていた。

「深雪は何を描いてるんだ?」
「んー。自分が好きなもの。」

キャンパスにどこまでも広がりそうな青空を描いていた。
遥輝君とは毎日話してどんどん好きになってく。

こんな事があったんだ。

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