エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


ようやく、梅雨が明けた。
カラリと晴れた空は嬉しいものだが、ぎらつく太陽はたまらない。

新しい仕事の依頼があって優杏は青木デザイン事務所へ向かった。
久しぶりに中に入ると、優杏に気がついた紗子が駆け寄ってきた。

「やっと顔を出してくれたわね。元気だった?」
「ご心配おかけしました」

紗子と会うのは、あの大雨の日以来だ。

「私の大好きなお庭はどうなってる?」
「少し崩れちゃって、まだ工事中なんです」
「え~、残念。夏の庭が見たかったのに」

紗子は驚きとともに、とてもがっかりした顔をした。

「すみません。今は公開できないんです」
「残念だわ~」
「でも、もうすぐ元通りになりますよ」

紗子にとってイングリッシュガーデンは憩いの場所なのだ。
元通りになると聞いて、やっと笑顔になった。

「よかった! その時はまた見学させてね」
「お待ちしています」

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