禁忌は解禁された
「どうして、受け入れたの?」
「んー?暁生のこと?」
その日の晩。
ソファに並んで座り、寛いでいる颯天と一颯。

「うん。
こんな世界に、どうして?」
「暁生の覚悟、俺には痛い程わかるから」
「だからって……」

「好きで、好きで、好きすぎて……
後悔したくないって気持ち。
俺は、一颯が姉ちゃんだった頃から、おかしくなる位大好きで、禁忌とかそうゆうのどうでもいいって思った。世間も、禁忌も、家族も、全部捨てて……
俺が一颯を幸せにしたいって思った。
それよりも一颯が俺以外の奴に取られるって考えるだけで、狂ってどうにかなりそうだったから。
後悔だけはしたくなくて、あの日……成人したあの日に、告白したんだよ」

「颯天…」
「暁生も同じだと思ったから、受け入れた」

「そう……わかった。
もう、何も言わない。仕事のことは、私が口出しできないし……」


「一颯、寝よ?」
一颯の頭をポンポンと撫でて言った、颯天。
「うん」

ベッドに移動して、先に横になった颯天は腕を伸ばして言った。
「一颯、おいで?はい、腕枕!」
「うん…
…………ねぇ、颯天」
「ん?早く来てよ!話をするなら、俺の腕の中で!!」

一颯はベッドに伸ばされている颯天の腕を持ち、それを避けるようにして横になった。
「一颯?腕枕するよ」
「腕、きついでしょ?」
「は?」
「腕枕のことだよ」
「きつくないよ。それよりも一颯を抱き締めて寝たい」
そう言って、一颯を組み敷いた颯天。

一颯のパジャマのボタンに手を掛けた。
「え?ちょっ…/////颯天…////!?」
「んー、一回だけ!」
「やだ!!今日は普通に寝たい!」
「お願い…」
颯天の顔が近づいてくる。
「だめ…////」

「…………暁生が…」
口唇が重なる寸前、颯天が呟いた。
「え?」
「初めての男なんだよな……?」
「ど、どうしたの…急に……」

「俺と暁生、どっちがいい?」

「は?」

「どっちの方が、上手い?」

「何、言ってる…の…?」

「どっちが━━━━━」
「もうやめて!!!」
一颯は、颯天の腕の中から這うように出てベッドを降りた。

「一颯!?」
「今日は、ママの部屋で寝る」

一颯はそう言うと、寝室を出ていったのだった。



「………俺、最低だ……」
颯天はその場に、大の字になり寝転ぶ。

ただ、好きなだけなのに………
ただ、傍にいられればそれでいいのに………

“段々…欲張りになってくんだ”

「暁生の言う通りだな……」

一颯の全てが欲しい━━━━━━━
< 17 / 85 >

この作品をシェア

pagetop