禁忌は解禁された
「離して!!」
「一颯!!?
一颯を離してください!!」

「お嬢ちゃんは向こうに行ってて!!」
「俺達は、お姫様と話してんだから」
男が志乃を突き飛ばす。

「志乃!!?
志乃、銀くん達呼んできて!!」
志乃は頷き、会場へ走る。


「お姫様も罪な女だねー!」
「え?」

「深澤が何故、神龍から放れられないか知ってる?」

「え………」
「あんただよ!」
「え?」
「お姫様に惚れてるからな!あいつは!
だから、あんたの傍から放れられない」
「違います!銀くんは、母を……」
「ちなみに!井田もだよ!」
「は?」

「神龍組は、あんたが中心だ!
みーんな、あんたの色気から放れられなくて神龍組を抜け出せない。
だとするとぉー!あんたさえ、俺達のモノにすれば………」
「嫌!!?」

「神龍は、俺達のモノになる━━━━━━━」

男の顔が近づいてくる。
一颯はギュッと、強く目を瞑った。

━━━━━━━不意に、力強い手に引き寄せられた。


「━━━━━━━颯天!!」
「一颯!!もう、大丈夫だよ!!」
颯天に抱き締められていた。

「知衛組ってさ!こんな、姑息なことするんだな?
確か親父は、もっとおっさん達のことかってたはずなんだけど?」
颯天は一颯を抱き締めたまま、男達を見据え言った。

「組長、井田、暁生!姫を連れて離れててください」
銀二が颯天の前に出る。

「私共の宝物に気安く触らないでいただきたい」

「あ?深澤!!
お前、色恋にかまけて何やってんだよ!?」
「は?」

「お前のような人間が、お姫様に惚れて放れられないなんて、バカだっつてんだよ!?
ヤクザが、たかが色恋にかまけるなんてみっともねぇ…!!」

銀二に掴みかかる、男。

「てめえ等には、わかんねぇよ…」
「あ?
………っ…いてて…!!!?」
銀二は男の手を片手で掴み、捻った。


「俺が、何故、神龍組から放れないか?
………………神龍寺 颯天が、最強だからだよ!!」


銀二の手に力が入っていく。
「は、離してくれ……!!!骨がぁぁぁ!!!?」
「……………もう、知衛組も終わりだな…」
「え…………」

「待ってろよ?
ウチの組長と一緒に、そちらの組長に会いに行く。
組長に言っとけ!!!カスが!!!」
と、男に耳打ちしたのだった。


「姫!!?」
「あ…銀くん……」
銀二が会場に戻ると、一颯は颯天達と壁側にあるソファに座っていた。

「お怪我はありませんか?」
< 30 / 85 >

この作品をシェア

pagetop