禁忌は解禁された
それからしばらくして━━━━

「おい、槙雄!そんなとこで寝んなよ!?」
槙雄がゴロンと横になる。
隣に座っている陽大が槙雄を揺する。

「なぁー颯天ー、泊まってていい?」

「うん、別に構わねぇよ。
ただ、俺は明日仕事あるけど」
「いぇーい!!
…………てことで、俺は寝る!!」

「おい!槙雄!!」
「あ、そうだ!颯天、酔いざましに散歩でもしね?」
辰之が提案する。

「ん。いいよ」


「━━━━あれ?皆さん、お帰り?」
「あー、一颯。
ちょっと、こいつ等と散歩してくる」

「え……颯天も出かけるの?」
思わず、一颯の瞳が切なく揺れる。

「え?あ……ううん。行かない!俺は行かないよ!
一颯の傍にいる!」

「は?颯天、何言ってんの?」
「お前等三人で行ってこいよ!」
「颯天も行こうぜー!」

「だからぁ!行かねぇ!一颯と離れたら、ろくなことがねぇし!」

「あ、ごめんね!私がつい…
颯天も行っておいで?
お友達、大切にしなきゃ!
組長の颯天でも、仲良くしてくれてるんだから」
一颯が慌てて、颯天の背中を押す。

「あ!じゃあ、お姉さ……いや、一颯さんも一緒にどうすか?」
辰之が微笑み言った。

「お!いいねぇー!行きましょうよ!」
陽大も話に乗って言う。
「賛成ー!」
槙雄が大きく手を上げた。

「は?もうすぐ、0時過ぎるんだぞ!危ねぇじゃん!」

「颯天がいんだから、いいじゃん!
俺等もいるし」
「まぁ、そうだけどよ!
…………どうする?一颯」
颯天が一颯の頭に手を乗せて言った。

「行きたいけど、銀くんが……」

「あ!そうだな……銀二は、頭固いもんなぁー」
「え?そうなの?」
辰之が首をかしげる。


「は?良いって言うと思ってるんですか?」

((やっぱり……))
颯天と一颯は、揃って心の中で思う。

「え?ダメなんすか?」
「大丈夫ですよ!そんなうろうろしないし」
「俺達で、一颯さんを守れます!」

「では━━━━━」
そう言って銀二は、辰之のこめかみに指鉄砲を当てた。
「え━━━━!!?」
「もし、姫にこんな風に拳銃を突き付けられたら………
それでも、守れますか?」

「そ、それは……」
「銀くん!!やめて!!
颯天のお友達には関係ないでしょ!!」

「しかし、姫。
我々がいる世界は、そうゆう世界です!」
「わかってるよ……」

「じゃあ、銀二がついて来いよ。
だったらいいだろ?」
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