禁忌は解禁された
颯天、銀二、井田がレストランの外を見た。

「組長!!!」
「あぁ、ヤバいな……!!!」
「なんで、こんな時に……
組長、急がないと!このままじゃ、姫が……!!」

「わかってるよ!!?」
「でも組長。
“あの”姫が、一人で行くところなんて決まってますよね?」
銀二が颯天に言う。

またそこに、雷が鳴る。

「「「親父(組長)……」」」
三人が、同じように呟いた。

「組長!!」
井田の呼びかけに、颯天が大きく頷いた。


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バチが当たったんだ………
颯天やみんなに嘘ついて、井田くんを出し抜いたバチが…………!!

一颯は耳を塞いで目をギュッと瞑り、うずくまっていた。

少しずつでも歩いて駅に向かおうとするが、足がすくんで全く動かないのだ。

「━━━━き!!」
不意に、颯天の声が聞こえた。

「え………はや、て…?」

「一颯!!!?」
「嘘……颯天……!?」

「「姫!!!?」」
「銀くん、井田くん!!」

あっという間に颯天の腕の中におさまった。

「良かった………無事で良かった……」
颯天の声が震えていた。

「ごめん……颯天…!ごめんね!!
ごめんなさい!!!」
一颯も颯天にしがみつき、何度も謝る。
「もういいから!
帰ろ?一颯、身体冷えてる……」

颯天が立ち上がり、手を差し出した。

その颯天の手を見つめる。
「一颯?どうした?」
「ううん…」

颯天に手を引かれ、車までゆっくり歩く。
颯天と一颯の後ろを、銀二と井田がゆっくりついていく。

「颯天」
「ん?」
「怒ってる?」
「…………怒ってるよ」
「じゃあ…殴っていいよ」

「は?」
「ひ、姫?」
「銀くんも、井田くんも怒ってるでしょ?
だから、いいよ。
三人になら、殴られてもいいよ」

「一颯、何言ってんの?」
「姫、冗談はやめてください!」
「姫を殴るなんて……あり得ません!」

「でも私、嘘ついたんだよ」
「うん。そうだな」

「井田くんのこと、出し抜いた」
「はい、びっくりしました!まさか、姫があんなことするなんて……(笑)!」
井田が、少し笑いながら言った。

「でも、手、震えてたの。心臓もバクバクしてた」
「姫は、本当はそんなことできる方ではないですもんね!」
銀二も微笑む。


「ごめんなさい」

「もういいって!
ダチのお願い聞いてあげたかったんだろ?」
「でももう…二度とこんなことはやめてくださいね!
心配で、私は生きた心地がしない……」
「そうですよ!姫は、俺達の宝物なんですから!」

「うん…大丈夫。
もう……しないよ。私も、こりごり……」
一颯は繋いでいる颯天の手を、更に強く握った。
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