禁忌は解禁された

【颯天の願い】

「先生!!!バイタルが!!!」
看護師が呼びに来る。

「では、そのように致しますので!」
そう言って、手術室に入ろうとする。


「━━━━━待ってくれ!!!」
颯天が、医師を呼ぶ。

「え?」

「腹の中の子を…………
子どもを優先にしてくれ!!!」

「え………」
颯天の言葉に、医師が固まる。

「組長!!それでは、姫が!!?」
銀二が、声を荒らげる。

「颯天!!何で!!?」
「組長!!」
暁生や、井田も信じられない思いで颯天を見る。


「一颯から、もう……誰も奪いたくない……」

「ご主人……」

「ここで、一颯一人が助かっても……一颯は、死んだように生きていく事になる。
そんな思い、もうさせたくない……!!!」



『━━━━━男の子だよ!』
一颯の耳打ち。

『男かぁー!』
『うん!颯天みたいな子に育ってほしいなぁ!』
『えー!俺?』

『うん!颯天みたいに、強くて、仲間思いで、優しくて、みんなを引っ張っていける頼もしい子!』

『へぇー、一颯、俺のことそんな風に思ってくれてんだ!』

『え////ま、まぁね』
『可愛いーー!』
『もう////からかわないで!!
…………あ!そうだ!颯天にお願いがあるの』
『ん?』
『名前、お父様の名前を一文字入れてあげてくれない?』
『え?親父?』

『うん。神矢 天馬おじ様の名前』

『え……?』
『神矢のおじ様とおば様がいなければ、颯天に出逢えなかった。私は、神矢のおじ様とおば様のおかげでこんな素敵な颯天に出逢えた。
確かに色んな苦しい思いをしたけど、やっぱり今はスッゴく幸せ!!
だから━━━━━』



「━━━━━神龍寺 颯馬(そうま)
腹の中の子の名前だ!
だから、颯馬を助けてくれ!!
俺の本当の両親が俺を生かしてくれたように、俺と一颯も……颯馬を生かしたい!!!」



「…………わかりました」

颯天の思いに、医師は静かに言って手術室に入った。

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