臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。
微妙なかんけい。

プロローグ 『腑抜けた夢の1部』

そよそよと風が吹く昼休み。

わあわあと音のするグランドを,私は自分の席から眺めた。

今,どっちが勝ってるんだろう……

私はゆるりと頬杖を付く。

その一連の流れは,この高校にあがってから私の習慣になっていた。

理由はただひとつだけ。

彼が……いるから。

私の視線の先には,サッカーをしてる男子たち。

そしてそれを見物する,女子。

でも,私はそんなに広く見ていない。

やっぱり格好いいなぁ…。

ただ1人,毎日欠かさず,自分の義弟のみを見つめている。

口にする勇気も何もない,ただただ誰にも知られてはいけない,そんな迷惑な気持ちと眼差し。

怯えながらも,捨てることが出来ない。

そんな義弟の名前は(れい)と言う。

それがまた,私の心を擽った。

理由は,きっとすぐに分かるだろう。
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