臆病な私に,君の溺愛は甘過ぎる。

待っていたはずなのに,聞きたくなかった『好きだ』

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世の中には,嵐の前の静寂と言う言葉がある。

それを,私は体験していたのかもしれない。

菖とのことは,心配を掛けたであろう澪にもざっくり説明した。

その後はどこか不安定だった澪も,幾分落ち着きを取り戻し,いつも通りであった。

けれど,麻冬ちゃんが約束通り遊びに来ようと,何であろうと。

澪は前より,更に私に優しくなった。
もとい,私を構うようになった。

戸惑いつつも穏やかな日々を送ること,1月(ひとつき)

それは,休日,更に言えば,日曜日のこと。

お義母さんはまたどこかへ元気に出掛けていき,用もなく澪と家に二人きりになる。

なんだかとても久しぶりで,言い難い緊張感が漂っていた。

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