【完結】橘さんは殺された。


「橘さん……」

 葬儀に参列した俺達は、橘さんの最後を見届けた。
 橘さんの最後のその表情からは、何も読み取ることもできなかった。

 クラスの女子はみんな泣いていた。仲の良かったクラスメイトたちは、棺桶の中で眠る橘を見て、思いに打ちひしがれていた。
 縋りついて泣いていて、みんな涙が止まらなかった。


「……橘さん、元気でね」

 俺は橘さんの最後の顔が……忘れられそうにない。
 せめて、好きだと一言伝えておけば良かった。……その時、そう思った。

 橘さんを殺した犯人が捕まることだけを、俺達はただひたすら祈った。
 橘さんがなぜ殺されなければならなかったのか、なぜ橘さんだったのか。
 
 その答えを知る日は、まだ来ないとーーー。
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