1ページホラー夜の章

悟る

悟る

これは社会人のBさんが体験した怖い話です。

夜寝ている時にどこからか声が聞こえてきました。

「悟ちゃーん、悟ちゃーん」

耳をそばだてると誰かを探しているようなお婆さんのようなしわがれていて、甲高い声が響いていました。

うるさいなぁと思っていると窓の直ぐ側から「悟ちゃーん」と声が聞こえました。

Bさんはびっくりしました。

Bさんが寝てる部屋は2階だったからです。

誰かが屋根に登って窓の外から呼んでる？

でも、先程の声はもっと遠くから聞こえていました。

わからず固まっていると「悟ちゃーん、悟ちゃーん」と先程よりもっと大きな声になっていました。

もう叫び声に近い声になっていました。

怖くて動けずにいると

「聞こえているんだろっ!!返事をしな!!」

怒鳴りつけてきました。

「ひっ」

思わず引きつった声が出てしまいました。

「ほぅら、聞こえてた。やっぱり悟ちゃんだ」

打って変わって優しい声色になりました。

「ぼ、僕は悟じゃないですよ」

なんとか言い返しました。

「悟だよ、声が聴こえているんだからね。じゃあ今日は帰るよ」

そう言うと窓の外に感じた気配は消えていました。

翌朝親に昨日のことを話しても、そんな声は聞こえなかったと言っていました。

それからBさんには、見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるようになりました。

ただ、そのお婆さんのような声は聞くことがなかったそうです。