1ページホラー夜の章
跳ねるボール
跳ねるボール

これは高校生のKさんが体験したお話です。

部活と委員会で帰るのが遅くなってしまったKさんは誰か一緒に帰れる人がいないか体育館の方に行きました。

ギギィーと重い扉を開けて、中を覗くと暗いがなんとなく輪郭がわかりました。

誰もいません。

しょうがない一人で帰るか。

そう思い扉を閉めようとすると

ボーン、ダッダッダ

何やらワックスの効いた床を跳ねて転がるボールの音が聴こえました。

誰かいるのかな。

Kさんは薄暗い中、目を凝らしましたがやはり誰もいません。

すると今度は後ろから

ボーン、ダッダッダッと転がる音が聞こえて足におそらくバスケットボールが当たる感覚がありました。

さっと振り返ったKさんですが、後ろには誰もいないし、そもそもバスケットボールも落ちていない。

Kさんは怖くなって体育館から校門まで走りました。

校門に着いてふぅと一息ついた時に

ボーン、ダッダッダッ……カツ

足にまたバスケットボールが当たる感覚がありました。

Kさんは今度は振り向かず家にまっすぐ帰りました。

幸い家に帰ってからはそんな不思議なことは起こりませんでした。
< 6 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop