ひねくれた純愛 アイリスとカーライル

その夜は徹夜だったが、
何とか朝までに教授と俺は、
監査関係の書類を整理し終えた。

所長の企てを、失敗させてやりたいと俺は意地になっていた。

それに俺は反抗的だが、
仕事はできるのだ。

俺が目をさましたのは、翌日の昼過ぎだった。

教授のソファーで
毛布をかぶって寝ている所を、
ラングレーにいきなり
どつかれて、起こされた。

「おい、カーライル、起きろ」
「へい、何ですか?」

俺は毛布を顔半分にかぶったまま、目を開けた。

「指導教官の変更だ。俺が担当になる」
ラングレーは腰に手を当てて、
ニヤッと笑った。

「だから、
午後からの俺の授業を、
お前が代わりに全部やれ」

「はぁ、あのハミルトン教授は?」
俺はソファーに座り込んだ。

「監査が終了した後、過労で倒れた。
しばらく休養で休むことになった」

「そうなんですか・・・」
俺は顎に手をやって、首を振った。

「というわけで、頼むぞ、
カーライル」

ラングレーは自分の仕事を
押し付けたので
口笛を吹いて、部屋から出て行った。
俺は仕方なく、毛布をたたんだ。

微かなアイリスの残り香がする。

切なく、はかなげな残照のように・・・・

俺は、
あの黒髪の人形を抱きたい
だけでなく、守りたかったのだろう。
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