クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「レーニスが、いいと言うのであれば、認めて、やっても、いい」
 渋々という言葉が似合うような言い方だ。

「ティメル。お願いします」

「それでは、レーニス様。失礼します」
 ティメルは指を折り、重ねただけであった彼女の手をぎゅっと握った。デーセオの顔もぎゅっと歪む。

 やはり、とティメルは思った。本来、ティメル程の魔術師であれば、相手がどれだけの術師なのか、とか、聖女としてどれだけの力量をもっているのか、とかは、同じ空間にいただけでわかる。
 だが、レーニスのそれはわからなかった。こうして触れて、ぎゅっと握りしめるまでは。まだ彼女の力が不安定なのだろう。

「レーニス様から、聖なる力を感じます。こうやって触れなければわからないので、以前のような力ではないかもしれませんが」

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