クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「あ、あの旦那様。その、解呪の途中ですので。その、離れていただけると、助かります……」

 耳の付け根まで真っ赤に染め上がったレーニスが、恥ずかしそうに言うものだから、仕方なくデーセオは彼女を解放する。するとレーニスはすっと立ち上がり、デーセオの前に立つ。それでもデーセオと視線の高さがほぼ同じ。辛うじてレーニスの方が高いかもしれない。

「ええと。私が旦那様を抱き締めます」

 勢いよく言うと、レーニスがデーセオの頭を抱き締めた。ティメルからは彼女の背しか見えないが、その腕の中でデーセオがどんな表情をしているのかというのは容易に想像がついた。
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