クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「視察へ行ってくる」と、執事のジョナサンに告げ、帰りのおおよその時間も連絡する。それから馬で飛竜舎へ向かい、ティメルと今日の視察内容の確認をする。

「デーセオ様」

「なんだ」
 これからレーニスとのデート、ではなく視察で楽しみにしているところを、なぜか水を差すような声色で主の名を呼ぶティメル。

「例の隣国の件ですが、何やら新しい船を作り上げているという話も聞こえてきます。バクスタから船と船の技術を集めているようですね」

「そうか」
 そこから考えられることは、その船を使って海路からこのクレイデルへ攻め入るという方法か。だが、ただ船を集め、そして新しい船を作っているという状況だけでは、デーセオとしては何も動くことができない。国に伝えるとしたら国境の敵の守りが薄くなった、ということだけだろう。
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