クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 夕食は最高であるような最悪なような気分になってしまった。それもこれもデーセオ自身が感情の制御ができないのが原因であるのだが、彼に言わせると妻が可愛すぎるのが悪い、ということになる。レーニスにとってはいい迷惑であるのだが、もちろんデーセオがそれをレーニスに伝えることはないため、結局彼女はデーセオのその気持ちに気付くはずもなく。

 そんな彼女は部屋で一人静かに本を読んでいた。この屋敷の書庫にあった、古いロマンス小説のようだ。もちろん、デーセオはそのような本があったことも知らなければ、読んだこともない。
 読書の時間を邪魔しては悪いなとは思いつつも、彼女の側にいたくて、黙ってその隣に座ってみる。
 もちろんレーニスはそれに気付いて、視線を彼に向ける。

「いや、その。読書の邪魔をするつもりはないんだ。ただ、その、隣に座ってもいいか?」

「もちろんです」

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