クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「それは。俺の今までの態度も悪かった。その、まあ、あれ、あれなんだ。お前が可愛すぎてどうしたらいいかがわからなかった。お前に嫌われるのが怖くて、ずっとあっちに逃げていた。お前を金で買った、というのは事実だが、その、まあ、出会い方はなんであれ、今は、お前と一緒になれたことを、その、後悔はしていないし、これからもずっと、その、一緒にいて欲しいと、思っている」

 それはレーニスの心を温かくするには充分すぎる言葉だった。

「ありがとうございます、旦那様。私も、見知らぬ女性に嫉妬してしまい、申し訳ありませんでした。王都には華やかな女性がたくさんいらっしゃいますから」

「嫉妬。嫉妬をしてくれるのか? この俺のことを心配して」

 レーニスは両目に涙を溜めたまま、力強く頷く。
「私だって、不安です。その、旦那様と離れてしまうことは。ずっと不安でした。北の砦にいらっしゃるとはお聞きしていましたけれど、それでも、もう二度と会えないような、そんな気がしていたから。大事なことを伝える前に、会えなくなるのではないかって」

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