クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「そう」
 それでもロイスは嬉しそうに笑顔を浮かべている。そのロイスの言葉の先を奪ったのはクエバだ。

「フルヘルト卿が、是非ともレーニスを妻に娶りたいと言ってきてだな」

「え? パエーズ卿ではなかったのですか? その、私の嫁ぎ先、ですが……」
 昨日、ロイスからそう言われ、引き受けてもいいという意味で「はい」と返事をしたはずなのだが。

「ああ、まあ、そうだな。レーニスは人気があるからな。パエーズ卿も是非にとはおっしゃってはいたが、フルヘルト卿の方がお前と年も近いし、何よりも竜騎士様だ。だからな、その、ま、あれだ。まあ、そちらの方がいいかなと、私たちも思ったわけだ」
 クエバの歯切れが悪い。恐らく、このフルヘルト卿の方が良い金額を提示してきたのだろう、とレーニスは察した。

「フルヘルト卿はどのような方なのでしょうか? パエーズ卿の方は大丈夫なのでしょうか?」
 どちらもレーニスの率直な想い。

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