棗くんからは逃げられない
「ねぇ、ことはぁ…もう真っ暗だよ…」
「だねー」
「…………」
「あ、お疲れー!」
怯える私を相手にせず、部員に手を振る琴羽
「………ぅ………」
結局、昨日とおんなじ
「昨日の人、いるかな……」
ふと、声に出していた
恐る恐る昨日の人がいた路地裏を覗く
「……い、ない…」
安心したのかがっかりしたのか自分でも分からなかった
って、がっかりなんてしてない
複雑な気持ちが胸を渦巻いていたからか、気づいたら家だった