偽装結婚の行く末
「えっと、この前会った時には付き合ってたの?」

「実はあの時はケンカ中で言い出せなくて」

「ああ、そうだったの……」


お茶を全員分配り終えて自分もダイニングテーブルに座った母さん。
ふう、と自分を落ち着かせるように息をついて顔を上げた。


「ありがとう昴くん、あなたみたいな素敵な人が美優と結婚してくれるなんて」


だけどその言葉に違和感を覚える。
ほら、やっぱり母さんはあたしじゃなくて昴のことばっかり。
少しは娘の気持ちも考えてよ。


「姉ちゃんおめでとう!」


すると、律が突然大きな声を上げた。
全員が驚いて律に注目する。
……あたしが嫌な顔したから、気を使ってくれたんだ。


「よかったね姉ちゃん、昴兄やっと決心したんだ」

「俺はいつでもその気だったけど、美優が渋ってな」

「確かに姉ちゃん、男運ないからすぐに信用してくれなさそう」

「ああ、信用してもらえるまで4ヶ月かかった」


律は終始笑顔で話を聞いて「粘ったね〜」とまた目を細めて笑う。
ほんと、あたしにはもったいないくらい良い子。


「……ほんと、そういうところ私にそっくり」

「え?」


すると、隣の母さんが眉を下げて困ったように笑った。
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