僕らは運命の意味を探していた。
ようやく方向性も決まり、会議は終了を迎えた。時間ができた事は良い事だが、僕にはやる事がなかった。

 とりあえず、散歩でもして雄大な自然と戯れるのも良いかもしれないな。

 小さな紙切ればかりを追ってたから、まじまじと周りの風景を見た事がなかった。いい機会だ、そうしよう。

 僕は予定をぼんやりと決めて、何の気無しに歩き出した。『穏やかな日になるな』、そう確信して教室を出ようとした。

 その瞬間、なにやら右肩を叩く感触がした。

「マー君さ、今日は私に付き合ってくれない?」

 あきは輝く顔を覗かせながら言った。

 僕はその理由が分かるはずもなく、首を傾げているだけだった。

「どうしたんだよ急に。」

「いいから、ちょっと来てよ。」

 有無を言わさずあきは僕の腕を引っ張った。

 僕は一切の返答をしていないにも関わらず、教室から連れ出され、昇降口に入ってすぐの一室に連行された。

「どうしたんだよ。」

 半ば呆れたように、僕はあきにそう言った。

「じゃーん。これ活動中に見つけてさ、暇な時着てみたいなって思ってたの。男性用もあるから一緒に着ない?」

「これって浴衣か? そんなもんどこで……。」

 あきは胸を張って、ハンガーに掛かったままの女性用浴衣を見せてきた。

「商店街の洋服屋さんにあったの。別に良いかなって思って持ってきちゃった。」

「持ってきちゃった、じゃないよ。」

「まあまあ・・・・・・。着てみよう。」

 
< 41 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop