僕らは運命の意味を探していた。
 この世界の気候はほとんど変化を見せない。怖いくらいに一定を保っている。

 来る日も来る日も、かげることのない太陽が僕らの体力を削っていた。

 それでも日陰は幾分快適で、優しさに溢れたそよ風が心地よさを強めてくれていた。

 二時間ほど長く休息をとってから、再び司令官を中心として話し合いを展開した。

「とりあえず、午後の活動を始める頃あいだから、朝決めたグループで行ってきてくれ。」

 司令官の掛け声とともに、各々が適当な相槌を打つと、友花を残してそれぞれが捜索を始める。

「そういえば久々だね。マー君と捜索活動するの。」

「そっか。数日ぶりになるのか。本当に時間の経過ってあっという間だよな。」

 捜索活動自体が久々なだけで、基本的にあきと行動を共にしているから、新鮮味は全くと言っていいほど感じられない。

 僕は安心感で心が満たされていた。

「私ね、二人でいる時間が楽しすぎて仕方ないの。夢の中だけど、昔っから好きだったマー君とずっといられるって、何か信じられないよ。」

 あきの幸せそうな表情を見られることは何より嬉しかった。

 しかし、その嬉しさはどこか場違いな気がして、素直に受け入れられなかった。

 ここは死と隣り合わせの、デスゲームが行われている世界。そんな世界で『嬉しさ』を持っている自分が許せなかった。

「そんなくっつくなって、汗だくなんだからさ。」

 太陽は容赦なく僕らに光を浴びせ続ける。すでに汗が枯れているのではと疑いたくなるほどに、僕の制服は汗まみれだった。

 お風呂やシャワーの設備も完備されていないために、数日に一回の水浴びだけが汗を流す唯一の機会。

 女子がいるから、洗濯なんて出来るはずも無い。相当劣悪な環境に僕らは身を置いているのだった。

「別にいいじゃん。私たち好き同士なんだからさ、もっとイチャイチャしようよ。」

 あきは躊躇なく僕の腕に捕まって、道端を歩くカップルのように自然と腕を組んだ。

 僕は自分の洋服が発する匂いを予測して、極力あきとは距離を取ろうとしていた。

 しかしあきは、そんな悩みがゴミだとでも言うように、体を密着させてきた。

 日陰の無い一本道を密着状態で歩いているから、体力の消費も数段多い。特に密着部分は温度が高く感じる。

 その部分からは心臓の鼓動が聞こえてきて、僕の鼓動と共鳴していた。

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