内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 しれーっと澄ます店長は「子どもは間違いなく綺麗な子ね」などと言いネギマにかぶりつく。

「ど、どうして……」

「だって、御曹司が迎えにきて、手つないだりしてたじゃないのさ。お店の子、みんな知ってると思うよ」

「えっ、見てたんですか」

 うんと、呆れたように目を細めて店長はうなずいた。

「誰がどう見ても恋人同士でしょうが。ヒサ君なんてしょんぼりしちゃって大変だったんだから」

 そういえば、この数日ヒサ君が元気ないような。

「でもなんでヒサ君が」

 店長は、左右に首を振る。

「あんたもなにげに罪な女だよね」

「ええ? なんですかそれ」

 それにしても、手をつないだのって店からちょっと離れてからだったと思うのに、まさか見られていたとは。

 だからって認めるわけにはいかないわ!

「違いますよ。神林さんはお友だちなんです」

「あー、そうですか」

 どうみても全然信用していない。

「あのイケメンに引っ越し先を追及したら黙っている自信ないしね。行き先は聞かないでおく」

「はい。そうしてください。教えません」
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