内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 満足そうにうっすらと微笑んだカレンは、何事もなかったようにワイングラスに手を伸ばす。

 いったい、どこまで本気なんだろう。

 僕に執着する理由はないはずだ。

 父は頭取、美人で二十五歳と歳も若い。縁談など掃いて捨てるほどあるだろうに。

「カレンさん、なにか結婚しなきゃいけない理由でもあるんですか?」

「ええ」と、カレンはゆっくりとうなずく。

「結婚が決まるまで、永遠とお見合いを繰り返さなければいけませんから。それならば、悠さんのように、私好みの素敵な方がいいです」

 なるほどね。彼女には彼女なりの理由があるわけだ。
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