内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「千絵が一緒かどうか探ってたんだろうね。僕は別に密かに家出したわけじゃないし、住まいは教えてはいないけど、電話では繋がっているから心配かけてはいないよ」

「ほら」と、悠はスマホの履歴を見せてくれた。

 弁護士や私の知らない名前がずらずらと並んでいる。

「これはシルKUの秘書、こっちは営業部長。仕事が滞らないようになってる」

「そうか、それならよかったよ」

 悠が仕事を放り投げていくなんて、そんな無責任なことをするはずないもんね。

「じゃあ、どうして家を出たの?」

 政略結婚が嫌だったの? とは聞きづらい。

「まあ色々あってね。シルKUでの内輪もめで誰かが責任を取らなくちゃいけなくなった。父を退陣させたい反対勢力が騒いで」

 予想もしなかった難しい話に、驚きを隠せない。
 会社の話は私にはまったくわからないから。

「あはは、眉間に皺がよってるぞ」

 ぐりぐりと眉間に指をあてられる。

「だって、まさかそんな話が隠れていただなんて。弁護士さん何にも言ってなかったし」

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