内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 誘った店はいきつけの焼き鳥屋。

「ビールでいいですよね」
「うん」
 いつものように店長の生ビールを頼み、私の分はオレンジジュースを頼むと店長が怪訝そうに眉をひそめた。

「店長が口が堅いと信じて、全部お話します」

「あ、ああ、はい。聞いたら忘れるようにする」

 店長は上半身を後ろに反らせ、神妙に表情を堅くした。

「実は妊娠しているんです、私」

「えっ!」

「シーッ。誰にも秘密なんですから、お願いしますよ絶対に内緒で」

 漫画のように目を丸くした店長は慌てて口を押さえる。
「あ、ああ。うん、わかった」

「相手にも言ってないんです。それに、まだ昨日わかったばっかりで」

 悠のお父さまが会いに来た次の日、妊娠検査薬を使い昨日は病院にも行って確認してきた。
 私には妊婦になったのである。

「そうなの。なるほど、それで焼き鳥屋でオレンジジュースなんか飲んじゃってるのか」

「はい」

「それで? 秘密ってことは結婚じゃないの?」

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