地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!
 口調はちょっとキツイけど、そっと私に触れる指からは魁吏くんの優しさが伝わってきた。
 その優しさに、また泣きそうになってしまう。
 でも、泣きたくない。
 嬉しいっていう気持ちは、泣くより笑って表現したい。
 まだ出てきそうになる嬉し涙を引っ込めて、私は魁吏くんに微笑んだ。
 私たちを祝福するかのように、空には大きな大きな花火が打ち上げられる。
 本当に、贅沢な夏だ。
 これまでで、一番キラキラしていて大切な夏。
 「魁吏くん、ありがとう!」
 「・・・・・・おう」
 ワンテンポ遅れて、魁吏くんから返事が返ってくる。
 その顔は、今まで見たことないくらいに暖かかった。
< 110 / 143 >

この作品をシェア

pagetop