ヨルガオ-午前0時の逃避行-

確かに、申し出を断ったのはバイクに乗りたくなかったから。

でもそれは……。


「俺は由良と違って、そこまで運転上手くないからなー」

「違います……!運転がどうこうじゃなくて」

「冗談。俺の、じゃなくて、由良以外の奴の後ろに乗りたくないんだろ?」


淀みなく言い当てられてしまった。


「気づいてたんですか?」

「なんとなく。来るとき、乗るのをためらっているように見えたから。最初は、バイクに乗るのが怖いのかと思ってたけど、由良には乗せてもらってたらしいし」

「ごめんなさい……。私、なんとなくバイクの後ろって特別感があるものだと思っていて」


由良くんが後ろに女性を乗せたことがあるのか気にしたり、他の人のバイクの後ろに乗って後ろめたさを感じたり。


小さいことを気にする面倒くさい奴に思われるかもしれないけれど、そういう自分の価値観は変えられない。

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