クールなご主人様は溺愛中
「怪我は? 大丈夫?」


ベッドまで行って聞く。


「ああ。暇すぎて困ってるくらいだよ」


元気そうな笑顔に安心しながら、近くの椅子に座る。


「ありがとう、守ってくれて」


この怪我は、私を庇ったものだ。


あの時、妹の目的は私だった。


それなのに、冬夜くんが代わりにこんなふうになってしまった。


「いいよ。里奈が無事ならそれで」


「そんなわけない......。ごめんね、冬夜くん」


冬夜くんの優しさがかえって罪悪感を加速させる。


「謝んなよ。俺がしたくてしたことだ」


そう言って私の頭を撫でる。


「ありがとう」


そう言って笑えば、冬夜くんも笑った。


「ねえ、冬夜くんって昔この病院に入院してた?」


そう聞けば、一瞬驚いた顔をして、すぐにふっと笑った。
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