やわく、制服で隠して。

私の為にリスクは負えないし、私の代わりはいくらでもいるときっぱり言った人達を、一瞬で切れた縁を、私には恨めない。

中学の三年間を無かったことにしたかったのは私も同じだし、心の底から彼女達を信用していなかったのは私も同じだったから。

それがそのまま私の評価に繋がっただけだ。
何かの縁を切るたびに痛い目に遭うのは自業自得だと思う。

私が最初から誠意を持って友情を築いていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。

要らないと、きっぱり言われた私を深春は選んでくれた。
自分の身を危険に晒しても、沢山の嘘をついたとしても。

「深春のお父さんって本業は警察だったんだ?」

「もう。意地悪言わないで。」

深春が私の顔を覗き込んで、ぷくっと膨れて見せた。こんな可愛い深春を見られるのなら、今日のことも全部チャラだって思えた。

「何でそんなウソついたの?」

「イキリヤンキーには警察が一番有効だと思って。」

「酷い言い方。」

苦笑いした私に、深春もクスクスと笑っている。

「ネットは本当に調べたの?」

「もちろん。カホって子のこと、当たってたでしょ?あの子を探し出すのは本当に簡単だった。」

「だろうね。」

「あの子のお父さんが役職持ちで助かったよ。父親の知らないところで勝手に父親の名前使ってるヤンキーは、それがバレるとヤバイってこともよく分かってるだろうから。」

手を繋いだまま歩く私達は、いつもよりゆっくりと歩いた。
二人とも時間なんて気にしていなかった。
このまま深春と二人で何処までも歩いていければいいのに。

「あの男達もさ、カホって子と繋がってたからすぐ見つけられたよ。リア充アピールするみたいに写真もいーっぱい載せてた。高校生の頃と今と、全員別人だったけど。」

「大学生デビューってこと?」

「多分ね。都合よく使えそうな年上の男にでも適当に声かけたんじゃない。それでアイツらもその気になって、身の丈合わせようと頑張ってたんでしょ。だから私の言葉にもすぐに怯んでくれた。」

「ラッキーだったね。でも深春ならもっと追い詰めそうなのに。再犯…するかもしれないし…。」

立ち止まって深春を見た。
街灯の下。ぼんやりと照らされた深春はいつもより艶っぽく見えてドキッとした。
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