青の先で、きみを待つ。



その日の夜、私は保健室で見た夢のことをまた思い出していた。

私の忘れていた記憶の一部というよりは、横たわる身体を魂だけになった自分が見ていたと表現したほうが正しい気がする。


自分の姿なんて客観的に見たことなんてないけれど、あの髪型もあの背丈もあのシルエットも、どう考えても私だった。

それで……重なるように一緒にいたのは間違いなく蒼井だ。

私たちは絶え間なく降り続ける雨に打たれながら、裏庭で倒れていた。

彼にそのことを話すことはできなかったけれど、私の勘が当たっているならば、間違いなくあの光景は屋上から落ちた後の出来事だと思う。

私はたしかに自分で死ぬことを選んだ。

けれど、痛々しい自分と、蒼井の制服が赤く染まっていく様子を目にして、怖くて怖くてたまらない気持ちになっている。

あの日の自分を否定したくはない。

だけど死ぬってすごく怖いことなんだって知った。

私はいい。私はいいけれど、蒼井だけは死んでいてほしくない。

私が勝手に巻き込んでしまっただけだから、彼だけは元の世界に戻さなければならない。

神様なんて信じてないけれど、どうか蒼井だけは助けてください。



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