青の先で、きみを待つ。



「おい、ブス」

涙で視界が滲んでいる中で、蒼井と目が合った。本当は余裕がないくせに、口元はいつものように笑っている。

「なによ、バカ!」

元はといえば蒼井がこんな場所に立てなんて言うのが悪いんだ。

いつだって計画性がないし、私の意見は聞いてくれないし、そういう勝手なところが、最初から本当に変わらない。

腹がたつ。

ムカついてる。

でも、感謝してる。

何度言っても足りないくらいに。

「お前から何度もされた俺たちは死んだのかって質問。今教えてやる」

「もう、なんで今なの?」

「……いつも誤魔化してたけど」

「なに? もっと大きな声じゃないと聞こえない!」

「いつも誤魔化してたけど! 本当は死んでなければいいって思ってた。だって助けたくて一緒に落ちたのに、助けられなかったなんてカッコわりーじゃん!」

もう、本当にバカじゃないの。

なんでそれを今言うの?

いつもみたいに痴話喧嘩でいいから言い返したいのに、声にならない。

蒼井が助けようとしてくれた命。

その命が私を呼んでいるのなら、拒む理由はない。

寂しいけれど、怖いけれど、捨てても構わないと思っていた命だったけれど、今はそれが愛しくて大切だ。

ごめんね。一度はバカなことをしてしまったけれど、もう一回私にチャンスをくれる?


< 180 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop