首取り様2
「本当か!?」


大輔が勢いよく立ち上がり、その勢いでまた出血した。


しかし本人は全く気がついていないようで、血が流れ出るのもそのままに明宏へ近づいていった。


木々の隙間に埋もれるようにして春香の首は置かれていた。


青ざめてキツク目を閉じている春香の顔を、大輔はそっと両手で抱きしめる。


「よかった、見つかったんだね」


駆け寄ってきた佳奈がホッと胸をなでおろして言った。


これで今日は地蔵に首がつくこともなさそうだ。


「悪いけど、これはお前らが運んでくれないか?」


春香の頭部を抱きしめたまま、大輔が2人を見た。


「いいけど、どうして? 大輔も一緒に戻るでしょう?」


「あぁ戻る。だけど、戻りにも化け物はウヨウヨいるだろう?」


大輔の言葉に明宏は頷いた。


地蔵へ行く前の道のりにだって出現したのだから、帰りにも出現するに決まっていた。


「俺はこんな状態だ。化け物に会ったら春香の首を落とすかもしれねぇ」


大輔は明宏に春香の頭部を渡した。


明宏は上着を脱いでそれを大切そうに包み込む。
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